エシカル・フェアトレードについて

・エシカルとは?

生産者や生産環境に配慮した社会的な意義のある製品は、エシカル(倫理的)プロダクトと呼ばれています。当店では取得している認証、生産の規模、輸入業者、関連団体などを考慮した上でコーヒー豆を仕入れていますが、特にフェアトレード、オーガニックのコーヒーを重点的に取り揃えています。

・フェアトレードとは?

「フェアトレード」という用語はいくつかの団体や企業によって使われており、厳密な定義があるわけではありません。団体によって、細かいフェアトレードの基準や重点は異なります。

しかし概して言えば、フェアトレードとは「発展途上国における、生産者の人権を尊重した商取引」です。

私たちの周りはもので溢れています。食料品、衣類、電化製品、車……。こういった製品のほとんどは、その製造プロセスで外国と何かしらの関わりを持っています。例えばコーヒー豆やバナナはほぼ全て海外で生産されています。また衣服に使うコットンはインド産で、車に使われている鉄やアルミはオーストラリア産かもしれません。

けれども海外で製品がどのように作られているか、製品を購入する消費者が知る機会は限られています。実は海外―特に発展途上国では、製品が製造される過程で様々な社会問題が引き起こされています。

例えばチョコレートの原料であるカカオの生産現場では、強制的な児童労働が問題となっています。また途上国でコーヒーを生産する小規模な農家は、極端な安値で生産したコーヒー豆を買い取られている場合があります。その他にも低賃金や環境破壊など、生産者の人権を軽視した商取引が世界各地で行われています。

製品を購入するのは、選挙で投票をするのに似ています。製品を購入することで、消費者はその製品に、その製造方法に、その製造者に、そしてその製品を生み出す社会のシステムに賛成票を投じているのです。生産過程に社会問題を抱えた製品を購入すれば、製造者は製造を続け、その社会問題も続いていくことになります。

こうした社会問題を抱えた製品の購入を避けるために生まれたのがフェアトレードです。フェアトレード製品は、生産・製造過程に関わる人々の人権を尊重して作られています。

例えばフェアトレード製品では以下のような基準にのっとって製造されています。

・家族経営の農家が集まった組合から購入されています。
・労働者は国が定めた最低賃金以上を受け取っています。
・労働者が働きすぎないよう、週の労働時間が決められています。
・児童労働は使われていません
・環境に配慮し、関連法を遵守しています。
・生産者の地域の発展に貢献する、プロジェクトを推進しています。

こういった基準にのっとり製造されたフェアトレード製品を買うことで、生産者や労働者の生活環境が向上し、彼らの持つ、当たり前の人権を守ることができます。

フェアトレード製品を選択する意味はそれだけではありません。消費者がフェアトレード製品を購入すれば、企業はより多くのフェアトレード製品を製造し、非倫理的な製造過程で生み出される製品の販売を止めます。つまりフェアトレード製品を購入することは、社会全体の商取引を変えていくことにつながるのです。

・フェアトレード認証団体

ある製品がフェアトレード製品だと主張することは企業、団体の自由です。しかしもしかしたらその企業は、ただ製品を売るための宣伝文句として、「フェアトレード製品」であると主張しているのかも知れません。実際にその製品の製造過程が倫理的と言えるか、どの程度倫理的と言えるのかは必ずしもはっきりしたものではありません。

こういった事態を防ぐために、いくつかの「フェアトレード認証団体」が存在します。こういった団体は第三者機関として、ある特定の製品の製造過程が十分に倫理的で公平か、それぞれの基準にのっとり審査を行います。

フェアトレード認証団体の審査に合格すれば、製品を基準に適った「認証済みの製品」として販売したり、「認証団体」として活動することが可能です。フェアトレード製品を購入する際は、フェアトレード認証団体の審査に合格していることが一つの目安になります。

フェアトレード認証団体には以下のようなものがあります。

1. Fairtrade International (FLO)

国際フェアトレード認証ラベルを管理するNGOです。(日本支部はフェアトレード・ラベル・ジャパン)途上国の生産者、労働者によって作られる特定の製品を審査し、フェアトレードの認証をしています。フェアトレードと認証されるためには、次の条件を満たさなければいけません。

・家族経営の農家による組合からの購入
コーヒーの場合、フェアトレードとして認証されるのは小規模な家族経営の農家による生産者組合のみです。メンバーである各農家が組合の運営に関する投票権をもち、団結することで買取価格を引き上げ、組合が直接輸出したり、輸出会社と交渉することができるようになります。

フェアトレードで大切なこと
ベルベット・コネクションでは小規模な農家さんにとって、良い商品を作り、組織化して販売力を強化していくことがいちばん大切なことだと考えています。ですので農家さんにより民主的に運営され、監査を受けて国際フェアトレード認証を得た生産者組合のコーヒー豆をメインで販売しています。

・労働環境の整備

児童労働、強制労働の禁止、国の定める最低賃金以上の給料の支払い、過剰な労働を防ぐための、労働時間の制限など。

・最低買い取り価格の設定
投機的原因などにより作物の値段が下がった場合、農家は作物を生産するために費やした金額を回収できないことがあります。それどころか、作物を生産するためにした借金を返済できなくなってしまうこともあります。こういった事態を避けるためFairtrade Internationalでは市場価格が下がった場合でも、最低買い取り価格で作物を買い取ることを約束します。[2]

・社会発展のための奨励金
輸入会社や小売店は生産者から製品を購入する際、フェアトレード・プレミアムと呼ばれる奨励金を市場価格に上乗せして払わなければいけません。この奨励金は生産者の地域の発展のための様々なプロジェクトのために使われます。[3]

このような基準を基に認証を行なっているFairtrade Internationalですが課題もあります。

Fairtrade Internationalがフェアトレード認証を行う製品は、コーヒー、カカオ、コットンなどの一次生産品が主です。その反面、プラスチックや金属の多くは認証の対象ではありません。現在のところ、それらを原材料として作られた工芸品や工業品をフェアトレードとして認証することはできません。

2. World Fair Trade Organization(WFTO)

FLOが特定の原材料とそこから作られた製品を認証するのに対して、World Fair Trade Organizationは発展途上国の生産者団体をフェアトレード基準に則り認証します。
フェアトレード団体として認証されるには、その団体が十個のフェアトレード基準を満たしていなければいけません。

この基準とは:
・経済的に不利な人々のために収入の機会を提供する
・透明性を確保し説明責任を果たす
・児童労働や強制労働を使わない
・給与や労働環境は法律が定める基準を満たす、などです。[4]

ただしWorld Fair Trade Organizationは個別の製品に使われる全ての原材料・素材までを厳格にチェックしているわけではありません。従って、World Fair Trade Organizationの認証団体から製品を買うときには、その製品に使われている素材がどのように生産されたものかも、考慮した方がよいでしょう。ベルベット・コネクションでは自社の基準に適った原材料を使用している製品のみを取り扱っています。

3. 独自のフェアトレード基準

第三者機関による認証がない製品の場合、販売団体が具体的にどのような基準に則って、その製品をフェアトレードとして販売しているのか、確認するのが望ましいでしょう。

確認するべき主な項目には……
・労働者の権利の尊重、小規模生産者組合との取引など、フェアトレード製品としての統一された基準を持っているか。
・原材料購入先や製品輸入先の規約、会計書類などを確認しているか。
・関連する情報や書類をどのように公開し、運営の透明性を確保しているか。
……などが挙げられます。

多くの情報を公開している、信頼出来る団体から製品を購入するようにしましょう。

1. FLO. Fairtrade Standard for Small Producer Organizations www.fairtrade.net/fileadmin/user_upload/content/2009/standards/documents/2012-07-11_SPO_EN.pdf
2. FLO. FAIRTRADE MINIMUM PRICE AND FAIRTRADE PREMIUM TABLE. http://www.fairtrade.net/fileadmin/user_upload/content/2009/standards/documents/2013-01-15_EN_Fairtrade_Minimum_Price_and_Premium_table_v3.pdf
3. プレミアム フェアトレード・ラベル・ジャパン http://www.fairtrade-jp.org/producers/000021.html
4. WFTO.10 Principles of Fair. Trade http://www.wfto.com/index.php?option=com_content&task=view&id=2&Itemid=14

・フェアトレードについてもっとくわしく

・ベルベットニュース

ベルベット・コネクションのブログでは生産者の訪問記や、フェアトレードについての情報も発信しています。

またフェアトレードの背景にある、発展途上国のビジネスに於ける社会問題、人権問題について以下のPDFにまとめています。

フェアトレードに対する批判について

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